TRAVEL

2020.07.10
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伊勢。神の国からあの歴史の舞台へ⑤

名古屋から伊勢にかけての伊勢湾沿いの一帯は、
神々の時代や、そして天下を争った武士たちの時代に
数々の物語を生み、日本の歴史を形づくってきた地。
いまに伝わり、脈々と生き続けるその遺産を訪ねよう。
背後に息づくドラマと文化に思いを馳せて。
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  • Michiyo Nishiuehara
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  • Seiichi Saito
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名古屋で出合った新旧職人の技と心意気②

  • 今宵の宿、名古屋東急ホテルはにぎわいの中心、栄にある。荷を解いた後、華やぎに誘われて、名古屋名物でも食べ歩こうかと街へ出た。遅くなってもホテルは近い。帰りの心配はなく、気持ちのいい部屋と翌朝はヘルシーな「なだ万」の和朝食が待っている。
  • ということで、まず選んだ名物は名古屋コーチン。まだ知名度が低かった1971年からこの鶏ひと筋という「鳥銀」へ。

コクのある名古屋コーチンの味に舌鼓

  • 日本三大地鶏に数えられる名古屋コーチン。鳥銀は創業からいままで一貫してその味を追求してきた店。串焼きももちろんおいしいが、甘みの少ない割下で山のように刻み葱を載せて煮る「鉄鳥」や、昔名古屋駅で駅弁として売っていた「出世釜」(鶏釜飯)はここならでは。

東新町 鳥銀

  • 名古屋市中区栄4-8-20
    TEL:052-251-3681
    torigin.net
    ※Webサイトで最新情報をご確認の上、お出かけください。

  • 串焼きや鍋を楽しんで、さらにもう一軒、「島正」という店に足を運んだ。
  • ――いやはや、兜を脱ぎました!
  • 島正のどて焼き、つまり名古屋風味噌おでんは、中までしっかり味が染み込んでいるのにまったく煮崩れがなく、大根などは曲尺を当てたように切り口にぴしっ! と角が立った見事な出来栄え。味も見た目ほど濃くなく、実においしい。冷めるときに味が染み込むことを利用して、味加減しつつ1日1回火を入れ、大根はなんと7日がかりで仕上げるという。
  • 「ただ毎日手を抜かずに続けるだけ。でもそれが難しいんです」
  • はからずも出合った職人魂。旅の醍醐味は、こんなところにもある。

島田正吾氏が愛した名店

  • 昭和24年、広小路通りの屋台からスタートした店。当初は「きむらや」という屋号だったが、新国劇の島田正吾氏がひいきにして、自身の名前が入ったのれんを贈ったことからお客さんが「島正」と呼ぶようになったという。味噌おでんの味噌はまるやの八丁味噌。手間と時間をかけたおでんだけでなく、串カツやどてめし、焼き鳥などもあり、どれも美味だ。

どて焼き 島正

  • 名古屋市中区栄2-1-19
    TEL:052-231-5977
    shimasho.biz
    ※Webサイトで最新情報をご確認の上、お出かけください。

和の朝食で1日をスタート

  • 手をかけてつくった和食でスタートする朝は、気分がいいもの。全体に薄味だが、しっかりとった出汁を使っているので、青菜の煮びたし、煮しめ、切り干し大根煮など、日によって内容が変わる小鉢はシンプルながら味わい深い。一品一品は適量で、品数が多くボリュームも十分。

日本料理 「なだ万」

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