TRAVEL

2019.11.01
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丹波山村
自然と人の営みが紡いできた里山の姿をいまに残す Vol.1

丹波山と書いて、たばやま。首都圏にもっとも近い森と渓谷の山岳公園、秩父多摩甲斐国立公園に属する、人口わずか600人の集落。読み方も知らぬ、始めて聞いたその地が、山梨県ながら東京の水源地として重要な役割を担い(多摩川の源流であり、東京都の水源涵養林の管理事務所がおかれている)、失われつつある日本の里山の姿をいまに残すという話に興味を惹かれ、訪ねてみることにした。
  • TEXT
  • Yuko Yoshiura
  • PHOTO
  • Shinsuke Sugino
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  • うっそうと茂る森林と渓谷を車窓に、峠道を走り抜け、丹波山村へ。山梨県北東部、東京都との県境に位置するそこは、まるで秘境とでもいうほど静謐に包まれていた。鉄道駅もコンビニもなく、人影もまばら。ほんの2時間ほど前に、ごった返しの都会を旅立った我々一行は、一瞬ここはどこ?と、タイムスリップしたかのような感覚を味わった。
  • 「ローラーすべり台」は、約2分ほどの滑走。雨上がりなどでローラー部分が少し濡れているとスピード増。
  • まずは村随一の観光名所「ローラーすべり台」へ向かう。全長247m、高低差42m、小峰山の中腹を利用して作られたローラー型のすべり台は平成2年の完成当初は日本一の長さを誇っていたそうだ。スタート地点の「冒険丹波山城」に到達し、2階の展望台に上ると、山間にこじんまりとした村の全景が広がり、思わず「ミニチュアみたい」とつぶやいてしまった。山、木々、川、田畑、家並みが寄り添い、それらをすべて包みこむかのように穏やかな空気感が漂う。ただ美しいだけでなく、そこはかとない安らぎがにじみ出る風景だ。その余韻を残しつつ、いざ滑走。アナログ的な乗り物が周囲の自然とあいまって、なんとも爽快!現代の絶叫コースターとは異なる新体験に顔がほころんだ。
  • その後、多摩川源流の丹波川沿いを散策。
    「村営つり場」や川で、ニジマスやヤマメ釣りに興じる。静けさの中、釣り糸を垂れれば、無心。時の経つのも忘れてしまう。
  • 丹波川の支流 貝沢川の遊歩道の先にある「雌滝雄滝」で、静寂のなか、マイナスイオンをたっぷり浴びる。
  • 「雌滝雄滝」に通じる貝沢川の遊歩道で、清流と苔、木漏れ日が織りなす神秘的な輝きに癒される。
  • 最後は、多摩川源流の名湯といわれる「のめこい湯」でひとっ風呂。
  • 地元の方言でつるつる、すべすべという意味を表す「のめっこい」から名付けられた名湯「のめこい湯」。
  • ほのかに硫黄の匂いがする柔らかな泉質に浸かりながら、丹波山村の魅力に思いを巡らせた。いい意味で「自然しかない」。でもそれこそが村の宝。東京の慌ただしい時間を一気に忘れさせてくれた自然のパワーは、間違いなく心に潤いをもたらした。
  • 次回、さらに丹波山村の魅力を探ってみます。

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