金沢のひがし茶屋街で過ごす、静かな“喫茶時間”

- 石畳の小路と紅殻格子が連なるひがし茶屋街は、金沢を旅行したときに必ず歩きたくなる場所だ。
観光客で賑わうメインストリートにそっと佇む、町家の焙じ茶専門店「一笑(いっしょう)」は、扉を開けるとお茶を焙じた香ばしさがほのかに漂う。 
- 席に着く前から、身体がゆるんでいくような感覚。
慌ただしい旅行の途中で、「ここで息をつこう」と思わせてくれるのは、この場所が長い時間をかけて育んできた静けさゆえかもしれない。
1994年から続く「一笑」の営み

- 「一笑」が生まれたのは1994年。当時のひがし茶屋街は今ほど観光地として知られていなかったが、丸八製茶場の先代社長が「この町を盛り上げたい」という思いでこの町家を買い取ったことから、物語は始まる。
かつてここは、芸妓たちが行き交った花街。文化の香りが息づくこの場所に、喫茶の灯をともした。
店名の「一笑」は、俳人・小杉一笑に由来するだのそう。
松尾芭蕉とも親交のあった人物で、副業としてお茶を売っていた「売茶翁(ばいさおう)」としても知られる小杉一笑。松尾芭蕉が「奥の細道」で金沢を訪れた際、小杉一笑を尋ねたという逸話も。
旅人と茶を媒介に文化が交わった時代の名が、現代の喫茶にそっと重なる。 
- 現在の社長が「焙じ茶の魅力をもっと伝えたい」と考えたことから、2018年には焙じ茶専門店としてリニューアルオープン。
今や丸八製茶場の主力商品は棒茶だけでなく、さまざまな焙じ茶を販売しており、その発信地として「一笑」は大切な役割を果たしている。
茎を使用した「献上加賀棒茶」に、葉を使った「加賀焙じ茶」、期間限定発売の「焙茶noma」や「今月の焙じ茶」など──焙じ茶だけでもこれほど豊かな幅があるのかと驚かされるだろう。 
-
リニューアルにあたり、「一笑」が掲げたコンセプトは「香る、あじわう、つながる。」
カウンターを中心とした設計は、お客様同士やスタッフとの会話を自然に生むためのものだ。 
- 茶筒を開ける音、お湯を注ぐ所作、ほわりと立ち上る香り。その一つひとつが喫茶を“体験”として感じさせてくれる。
香りから選ぶ焙じ茶。旅行の記憶に残る一杯を

焙じ茶 季節の菓子付き ¥1,540円(税込) - 「一笑」の喫茶メニューは、「焙じ茶 季節の菓子付き」一種類のみ。けれど、その一杯に込められた深さは驚くほど豊かだ。
まずは茶葉見本から、好みの香りの焙じ茶を選ぶ。 
- 一番人気の「献上加賀棒茶」は、一番摘みの茎を浅く焙じた、澄み切った軽やかな味わい。上品で芳ばしく、夏は水出しでごくごく飲めるほどさわやかな風味だ。
「加賀焙じ茶」は葉そのものがもつ旨味を引き出した、浅めの焙煎。豊かな味わいと、爽やかな香りが特徴。
そして、名前の由来がユニークな「深炒り焙茶 BOTTO(ボット)!」。「ボッ!」と火が昇る勢いを表した名の通り、強めの焙煎による濃厚な香りと深い甘みが魅力だそう。 
- 選んだ一杯は、来店客の雰囲気に合わせた茶器で提供されるのも嬉しいポイント。
季節の菓子は時季により異なるが、金沢らしい上生菓子、羊羹、くるみのタルトなどから選べる。特に、兼六園近くに店を構える老舗和菓子店「高砂屋」の上生菓子は、献上加賀棒茶との相性が抜群だ。 
- 甘味をひと口、焙じ茶をひと口。“焙じ茶の余韻で味わう菓子”という新しい体験が、旅行の記憶に深く刻まれていく。

「焙じ茶 季節の菓子付き」の後には、メニューに載っていない焙じ茶が提供されることも。
焙じ茶をきっかけに広がる文化。ギャラリーとコワーキングスペースへ

- 「一笑」が喫茶だけで終わらないのは、ここが「文化の交差点」としての顔を持つから。
店内の中には小さなギャラリースペースがあり、月替わりで作家の作品が並ぶ。湯のみやお皿など、お茶にまつわる器が中心だが、町家の雰囲気に寄り添うオブジェが並ぶことも。
観光途中にふらりと立ち寄り、そこから作家の世界に引き込まれる人も多いという。
2階には1時間550円で利用できる、コワーキングスペース「一笑+」も展開。 
畳の部屋にクッションや机が並ぶ、「一笑」ならではのコワーキングスペース - 自分でお茶を淹れられるスペースがあり、観光地の中心であることを忘れるような、静かな時間が流れている。

- 観光で金沢を訪れ、隙間時間に1時間だけ仕事をしたい人や、出張先でもリラックスしたいワーカーなどにとっては、この上なくちょうどいい場所だろう。
金沢の喫茶で、ゆっくりと気持ちに余白をつくる時間を

- 「一笑」を訪れるときは、ゆっくりと時間をとって向かいたい。
一杯ずつ順番に丁寧に淹れるため、「待ち時間も含めて『喫茶の時間』として楽しんでいただけたら」とスタッフの小林さん。
「一人で静かに」「大切な人と」「お茶に興味があって」。 どんな理由で訪れても構わない。ただ、お茶を味わいたいという気持ちがあれば十分だという。 
- 金沢の旅において、ひがし茶屋街は特別な場所だ。
そこにある「一笑」は、観光の途中でほっと息をつける“旅行中の余白”のような存在。香りを深く吸い込むと、旅の熱がやわらぎ、心に静かな波が広がっていく。
一杯のお茶がもたらす安らぎを、どうかゆっくりと楽しんでほしい。
一笑
- 住所:石川県金沢市東山 1-26-13
TEL:076-251-0108
営業時間:12:00~17:00(L.O.16:30)
定休日:月曜・火曜
HP:issho.kagaboucha.com/
Instagram:instagram.com/maruhachi_issho/
※Webサイトをご確認の上、お出かけください。 
金沢旅行の宿泊先は「金沢東急ホテル」が便利

- 旅の拠点におすすめなのが、「金沢東急ホテル」。
近江町市場、香林坊、兼六園などの観光地へも徒歩圏内。今回紹介した「一笑」のあるひがし茶屋街へもバスで10分ほどと、散歩気分で向かえる距離だ。
金沢は、週末旅行にもぴったりのアクセスのよさが魅力。
東京からは北陸新幹線で約2時間30分、大阪からも特急で同じくらいの時間で行けるため、金曜の夜や土曜の朝に出発しても、無理なく楽しめる。
金沢駅からホテルへは路線バスで気軽にアクセスでき、小松空港からもリムジンバスが運行しているので移動がスムーズなのも嬉しいポイント。
「金沢東急ホテル」を拠点に、金沢の街歩きをゆっくりと楽しんでみては?
-
今回の記事はいかがでしたか?
金沢での旅行を楽しんでいただけることを願っています。
comforts.jpは、東急ホテルズが運営する、旅行好きの皆様に向けたウェブメディアです。
日本の魅力的な観光地やその土地の美味しいグルメ、文化や最新のトレンドなど、好奇心を刺激する旅行情報を厳選してお届けしています。
さらに、ホテルでの過ごし方や周辺の散策スポットなど、旅をより豊かにするヒントも多数ご紹介。
旅行へのワクワク感を高め、思い出を輝かせるパートナーであるために、comforts.jpは、もっと楽しく過ごせる、多彩な旅行情報をお届けします。
金沢の街を巡る
- ★金沢東急ホテルの宿泊券プレゼントあり
>①北陸の恵みを持ち帰る旅。「[g]ift」で見つける金沢らしいギフト 

