2026.01.30
GOURMET

金沢の街を巡る②
金沢、ひがし茶屋街で香りを味わう喫茶時間。
町家の焙じ茶専門店「一笑」

旅の途中で心に残るのは、特別な名所だけじゃない。ゆっくり歩くと、その土地の息づかいが見えてくる。

金沢の街は、そんな“歩く旅行”がよく似合う場所。本特集では、歩いて見つけた金沢の隠れスポットを全3回に渡ってご紹介していく。

今回は2回目。金沢散策のおともにぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しい。
  • TEXT
  • Mei Hiramatsu
  •  
  • PHOTO
  • Mei Hiramatsu
Share

金沢のひがし茶屋街で過ごす、静かな“喫茶時間”

  • 金沢「一笑」の外観
  • 石畳の小路と紅殻格子が連なるひがし茶屋街は、金沢を旅行したときに必ず歩きたくなる場所だ。

    観光客で賑わうメインストリートにそっと佇む、町家の焙じ茶専門店「一笑(いっしょう)」は、扉を開けるとお茶を焙じた香ばしさがほのかに漂う。
  • カウンター席が並ぶ金沢「一笑」の内観
  • 席に着く前から、身体がゆるんでいくような感覚。

    慌ただしい旅行の途中で、「ここで息をつこう」と思わせてくれるのは、この場所が長い時間をかけて育んできた静けさゆえかもしれない。

1994年から続く「一笑」の営み

  • 金沢「一笑」のテーブル席と中庭
  • 「一笑」が生まれたのは1994年。当時のひがし茶屋街は今ほど観光地として知られていなかったが、丸八製茶場の先代社長が「この町を盛り上げたい」という思いでこの町家を買い取ったことから、物語は始まる。

    かつてここは、芸妓たちが行き交った花街。文化の香りが息づくこの場所に、喫茶の灯をともした。

    店名の「一笑」は、俳人・小杉一笑に由来するだのそう。

    松尾芭蕉とも親交のあった人物で、副業としてお茶を売っていた「売茶翁(ばいさおう)」としても知られる小杉一笑。松尾芭蕉が「奥の細道」で金沢を訪れた際、小杉一笑を尋ねたという逸話も。

    旅人と茶を媒介に文化が交わった時代の名が、現代の喫茶にそっと重なる。
  • 金沢「一笑」のカウンター
  • 現在の社長が「焙じ茶の魅力をもっと伝えたい」と考えたことから、2018年には焙じ茶専門店としてリニューアルオープン。

    今や丸八製茶場の主力商品は棒茶だけでなく、さまざまな焙じ茶を販売しており、その発信地として「一笑」は大切な役割を果たしている。

    茎を使用した「献上加賀棒茶」に、葉を使った「加賀焙じ茶」、期間限定発売の「焙茶noma」や「今月の焙じ茶」など──焙じ茶だけでもこれほど豊かな幅があるのかと驚かされるだろう。
  • 金沢「一笑」の2階から眺められるひがし茶屋街の街並み
  • リニューアルにあたり、「一笑」が掲げたコンセプトは「香る、あじわう、つながる。」

    カウンターを中心とした設計は、お客様同士やスタッフとの会話を自然に生むためのものだ。
  • 金沢「一笑」のカウンター席
  • 茶筒を開ける音、お湯を注ぐ所作、ほわりと立ち上る香り。その一つひとつが喫茶を“体験”として感じさせてくれる。

香りから選ぶ焙じ茶。旅行の記憶に残る一杯を

  • 金沢「一笑」 お盆にのった和菓子と急須と焙じ茶
    焙じ茶 季節の菓子付き ¥1,540円(税込)
  • 「一笑」の喫茶メニューは、「焙じ茶 季節の菓子付き」一種類のみ。けれど、その一杯に込められた深さは驚くほど豊かだ。

    まずは茶葉見本から、好みの香りの焙じ茶を選ぶ。
  • 金沢「一笑」で提供 焙じ茶のメニューと茶葉
  • 一番人気の「献上加賀棒茶」は、一番摘みの茎を浅く焙じた、澄み切った軽やかな味わい。上品で芳ばしく、夏は水出しでごくごく飲めるほどさわやかな風味だ。

    「加賀焙じ茶」は葉そのものがもつ旨味を引き出した、浅めの焙煎。豊かな味わいと、爽やかな香りが特徴。

    そして、名前の由来がユニークな「深炒り焙茶 BOTTO(ボット)!」。「ボッ!」と火が昇る勢いを表した名の通り、強めの焙煎による濃厚な香りと深い甘みが魅力だそう。
  • 金沢「一笑」 急須と湯のみ
  • 選んだ一杯は、来店客の雰囲気に合わせた茶器で提供されるのも嬉しいポイント。

    季節の菓子は時季により異なるが、金沢らしい上生菓子、羊羹、くるみのタルトなどから選べる。特に、兼六園近くに店を構える老舗和菓子店「高砂屋」の上生菓子は、献上加賀棒茶との相性が抜群だ。
  • 金沢「一笑」 器にのった上生菓子
  • 甘味をひと口、焙じ茶をひと口。“焙じ茶の余韻で味わう菓子”という新しい体験が、旅行の記憶に深く刻まれていく。
  • 金沢「一笑」 お盆にのった焙じ茶とお菓子
    「焙じ茶 季節の菓子付き」の後には、メニューに載っていない焙じ茶が提供されることも。

焙じ茶をきっかけに広がる文化。ギャラリーとコワーキングスペースへ

  • 金沢「一笑」の中庭と和室
  • 「一笑」が喫茶だけで終わらないのは、ここが「文化の交差点」としての顔を持つから。

    店内の中には小さなギャラリースペースがあり、月替わりで作家の作品が並ぶ。湯のみやお皿など、お茶にまつわる器が中心だが、町家の雰囲気に寄り添うオブジェが並ぶことも。

    観光途中にふらりと立ち寄り、そこから作家の世界に引き込まれる人も多いという。

    2階には1時間550円で利用できる、コワーキングスペース「一笑+」も展開。
  • 金沢「一笑」のコワーキングスペース
    畳の部屋にクッションや机が並ぶ、「一笑」ならではのコワーキングスペース
  • 自分でお茶を淹れられるスペースがあり、観光地の中心であることを忘れるような、静かな時間が流れている。
  • 金沢「一笑」 お茶の淹れ方のテキスト
  • 観光で金沢を訪れ、隙間時間に1時間だけ仕事をしたい人や、出張先でもリラックスしたいワーカーなどにとっては、この上なくちょうどいい場所だろう。

金沢の喫茶で、ゆっくりと気持ちに余白をつくる時間を

  • 金沢「一笑」 急須でお茶を淹れる様子
  • 「一笑」を訪れるときは、ゆっくりと時間をとって向かいたい。

    一杯ずつ順番に丁寧に淹れるため、「待ち時間も含めて『喫茶の時間』として楽しんでいただけたら」とスタッフの小林さん。

    「一人で静かに」「大切な人と」「お茶に興味があって」。 どんな理由で訪れても構わない。ただ、お茶を味わいたいという気持ちがあれば十分だという。
  • 金沢「一笑」 お盆に乗ったお茶と急須と和菓子
  • 金沢の旅において、ひがし茶屋街は特別な場所だ。

    そこにある「一笑」は、観光の途中でほっと息をつける“旅行中の余白”のような存在。香りを深く吸い込むと、旅の熱がやわらぎ、心に静かな波が広がっていく。

    一杯のお茶がもたらす安らぎを、どうかゆっくりと楽しんでほしい。

一笑

  • 住所:石川県金沢市東山 1-26-13
    TEL:076-251-0108
    営業時間:12:00~17:00(L.O.16:30)
    定休日:月曜・火曜
    HP:issho.kagaboucha.com/
    Instagram:instagram.com/maruhachi_issho/
    ※Webサイトをご確認の上、お出かけください。
  • 金沢「一笑」の看板

金沢旅行の宿泊先は「金沢東急ホテル」が便利

  • 「金沢東急ホテル」のエントランス
  • 旅の拠点におすすめなのが、「金沢東急ホテル」。

    近江町市場、香林坊、兼六園などの観光地へも徒歩圏内。今回紹介した「一笑」のあるひがし茶屋街へもバスで10分ほどと、散歩気分で向かえる距離だ。

    金沢は、週末旅行にもぴったりのアクセスのよさが魅力。

    東京からは北陸新幹線で約2時間30分、大阪からも特急で同じくらいの時間で行けるため、金曜の夜や土曜の朝に出発しても、無理なく楽しめる。

    金沢駅からホテルへは路線バスで気軽にアクセスでき、小松空港からもリムジンバスが運行しているので移動がスムーズなのも嬉しいポイント。

    「金沢東急ホテル」を拠点に、金沢の街歩きをゆっくりと楽しんでみては?

  • 今回の記事はいかがでしたか?
    金沢での旅行を楽しんでいただけることを願っています。

    comforts.jpは、東急ホテルズが運営する、旅行好きの皆様に向けたウェブメディアです。
    日本の魅力的な観光地やその土地の美味しいグルメ、文化や最新のトレンドなど、好奇心を刺激する旅行情報を厳選してお届けしています。
    さらに、ホテルでの過ごし方や周辺の散策スポットなど、旅をより豊かにするヒントも多数ご紹介。

    旅行へのワクワク感を高め、思い出を輝かせるパートナーであるために、comforts.jpは、もっと楽しく過ごせる、多彩な旅行情報をお届けします。

金沢の街を巡る

関連記事

この記事のオススメホテル

  • 金沢東急ホテル

    石川・金沢の中心に位置し、金沢21世紀美術館、兼六園、ひがし茶屋街、金沢城公園といった観光地へのアクセスが抜群です。シックで落ち着いた空間が、ビジネスから古都散策まで快適にサポート。“温故知新”のおもてなしをテーマにした、金沢の伝統と現代的な利便性が調和したラグジュアリーな空間でお過ごしいただけます。

    〒920-0961

    石川県金沢市香林坊2-1-1

    TEL.076-231-2411

    FAX.076-263-0154