GOURMET

2023.10.20
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すすきの・狸小路で食す
極みの道産食材
肉質も味も最高を目指す
ふらの和牛

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  • Masayo Ichimura
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  • Hiromi Terashima
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  • Hironobu Oe
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  • 「ふらの和牛のポワレ」は「Akihisa Handa」のコースのハイライト。ナイフを入れるとあまりにも抵抗なく、スッと肉に沈むので驚くはず。口にすると柔らかいだけでなく噛むごとにじわりじわりと旨味がにじむ。「ふらの和牛」は上富良野町の「谷口ファーム」で育てられるブランド黒毛和牛。これまでさまざまな道産和牛を食べてきたと話すシェフの半田明久さんをして「脂の融点が低くさらっと食べられ、赤身も旨味がある。しっとり具合、柔らかさがほかとは違う」と言わしめる。
  • A5ランク、かつ12段階で霜降りの度合いを示すBMSナンバーが12の牛に最高値が付く牛肉の世界。ただし、近年はせっかくの最高ランクの肉を「くどい」と敬遠する向きもある。最高レベルの肉こそ一番おいしく食べてもらえるように。そう考えたのは谷口ファーム社長の谷口喜章(よしあき)さん。カギを握るのは飼料の配合と、与えるタイミングだという。飼料会社勤務を経て父が始めた農場に約17年前に戻った谷口さんは、肥育牛のレベルを上げるため、まずは牛のエサの食べ方を観察。そして屠畜(とちく)された後の枝肉の状態を確認し試食。その結果から、わずかな調味料の量で料理の味を変えるような繊細さで飼料の配合を変え、求める肉質を追求してきた。少しずつ肉質が変わってきたと実感し始めた2008年には「北海道洞爺湖サミット」総理夫人主催の昼食会などで提供。さらにそこから研鑽を積み、赤身の旨味を強くしようとしたら脂の味が抜けてしまった、などの試行錯誤を数十回。肉としての評価と味にこだわり続け、現在はほぼノウハウは完成していると自信を見せる。両者の付き合いは’06年、半田さんが「フラノ寶亭留(ホテル)」(富良野市)の総料理長に就任した時から。谷口さんは「おいしいものをよりおいしくしてください!」とテーブルへのバトンを託す。
  • フィレ肉を使ったポワレはシンプルな料理だからこそ火加減が命。半田さんは柔らかくジューシーに仕上げるため、提供する時間から逆算して肉を常温に戻し、弱火でゆっくり火を通す。休ませる時間は火が入りすぎない「ギリギリ」で。まさに「おいしいものをよりおいしく」。食べれば記憶に残るひと皿になるだろう。

「ふらの和牛」生産者 谷口ファーム


  • 約7,100頭の牛の状態を日々スタッフが確認。クラシック音楽の流れる牛舎は天井が高く、風が抜ける。

牛に快適な環境を与え循環型農業にも挑戦


  • 生後30ヵ月で出荷。飼料の配合は肥育期間の前・中・後期で、牛に負荷をかけないよう緩やかに変える。

  • 牛の糞尿はたい肥にして近隣農家へ。それと交換に農家からは麦稈(麦わら)ロールが届く。この循環型農業には先代の時代から取り組む。

  • 全頭がバランスよくエサを食べているか、細かくチェック。

  • 牛のエサであるデントコーンは富良野エリアに点在する自社の畑でも育てる。

谷口ファーム

谷口喜章さん


  • 黒毛和牛の肥育を行う谷口ファームを中核に、繁殖、酪農を行う牧場も運営。月に一度東京食肉市場に出向き飲食店と情報交換している。

フレンチ Akihisa Handa


  • 「ふらの和牛のポワレ」は¥16,500のコースで提供(※)。アラカルトでは肉が倍量になる(¥8,500)。 ※予約時に要確認

野菜をおいしく美しく
ワインを楽しむお店としての顔も


  • 野菜使いでも定評のある半田さん。「お野菜のテリーヌ」にはズッキーニ、カリフローレ、2種のパプリカ、シャドークイーン(紫のじゃがいも)など芦別市や美瑛町の農家から届く季節の野菜約10種を使用。

フレンチ Akihisa Handa

  • 2013年に独立。約4年の休業を経て、’23年4月に同じビルの最上階に移転オープンした。バータイム(チャージ料金なしで利用可)の時間は日によって異なるのでSNSで確認を。

    住所:北海道札幌市中央区南3条3丁目1 プレイタウンふじ井ビル9F
    TEL:011-600-6460
    営業時間:17:30~L.O.22:00(金・土曜はL.O.23:00)、バータイム20:30頃から(SNSで要確認)
    定休日:日曜、月1回月曜
    料金:コース¥8,250~
    Instagram:@restaurant_akihisa_handa

半田明久さん


  • 道内、東京のホテルなどで経験を積む。’13年に「Akihisa Handa」をオープン。バータイムにはお客とともにグラスを傾けることも。

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