TRAVEL

2020.07.24
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港町横浜。8つの記憶を訪ねる旅
記憶その1 横浜市開港記念会館
甦った光を見に行く

1859年、寒村に過ぎなかった横浜は、
日本の玄関口としての歴史を歩み始めた。
異国の風を受け、その文化を花開かせて約160年。
港町の歴史を鮮やかに刻む、8つの場所を旅する。
その記憶は美しく、懐かしく、そして楽しく......。
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  • Michiyo Nishiuehara
  • PHOTO
  • Takeshi Fukuhara
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ジャック。
記憶を訪ねる旅の出発点

  • 「ここの時計塔は、『ジャック』と呼ばれています。ご存じでしたか?」
  • ガイドの説明に、最初は建物にゆかりの人の名かと思った。神奈川県庁本庁舎「キング」、横浜税関「クイーン」と並ぶ横浜三塔のひとつとして、昔からこの名で親しまれてきたという。
  • 横浜市開港記念会館。
  • 記憶を訪ねる旅の出発点に、これほどふさわしい場所はないだろう。
  • 建物の東端に36mの時計塔が立ち、交差点に面して玄関とドーム屋根。赤煉瓦と花崗岩を取り混ぜたクラシカルな姿が美しい。横浜開港50周年を記念して市民から寄付を募り、大正6年に横浜町会所として開館した。
  • 入り口の石段を上って、中へと入る。
  • 大正12年の関東大震災で、内部は一度焼け落ちた。レトロな趣に満ちた現在の内部空間は、当初のデザインを尊重して復元したものだそうだ。
  • 重厚な空間に彩りを与えているのが、階段室と2階ホールのステンドグラス。赤、青、濃淡取り混ぜた緑......

  • 陽光を透かして鮮やかな色彩が目に染みる。以前は汚れ煤けていたが、平成21年、開港150周年記念行事の一環で、10か月の修復を経て光を甦らせた。
  • 現在も公会堂として使われ、会議や会合、式典にと人気が高い。さまざまな記憶を秘めつつ、いまも愛されている現役感と活気が、名建築にいっそうの魅力を添えている。ホールを行き交う多くの市民の姿に、そう思った。

  • 大正期の姿を伝える 横浜市開港記念会館
    国指定重要文化財。関東大震災では外壁を残してドームと内部を焼失したが、昭和2年に内部はほぼ元の姿に復元。平成元年にドームも復元、21年には2階のステンドグラスが修復され、昔の姿を取り戻している。希望すればボランティアガイド「ジャックサポーターズ」の案内も受けられる。

横浜市開港記念会館

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