- 旅先で思わず口にする言葉。
「おいしい!」
「すてき!」
「きれい!」
なんだかそれ以上、上手に表現できないときもある。でもおいしいものはおいしいし、すてきなことはすてき、きれいなものは、やっぱりきれいだ。北海道を旅するとこんな言葉たちがぐんと増える。
札幌で目覚める秋の朝。
「今日一日、どこへ行こう?」
ホテルに荷物を置いたまま、日帰り旅行。車で気ままに走るのもいいけれど、列車にポーンと乗り込めば、もっと軽やかだ。まずは北東へ。空知地方・岩見沢から。
奇跡の小麦と雪布団。空知の恵みはここから
- この旅で初めて出逢う「北の恵み」はパン。岩見沢駅から歩いて5分ほどの小さな店に入ると、朝一番の焼きたての香りがふわり。
「ブーランジュリー縁屋」を訪れる価値は、ここのパンが北海道生まれの希少性が高い小麦、キタノカオリで焼かれていること。香りが濃く、甘みもしっかりとしていて「奇跡の小麦」といわれる。
店主、中條未来さんは岩見沢生まれ。東京でパンづくりを学んでいたころ、キタノカオリは高価で使えず、それならこの小麦が育つ故郷でパンを焼こうと決めた。
クロワッサンが店の看板。さらに、塩バターパン、カレーパンは毎朝並べられるおすすめ。迷わず3つ買ってリュックに入れた。
パン屋泣かせでもおいしさにはかなわない


縁屋はハード系のパンが中心。キタノカオリは吸水性が高く、扱いの難しい「パン屋泣かせ」の小麦。それでも中條さんは「抜群においしいから」と使い続ける。ここのパンは小麦の香りが主役。
ブーランジュリー縁屋

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住所:北海道岩見沢市4条西4丁目7
TEL:0126-51-6167
営業時間:10:00~17:00/日祝 10:00~16:00(売切次第終了)
定休日:月・火定休、他不定休あり
アクセス:JR「岩見沢駅」から徒歩約5分
www.instagram.com/boulangerieenishiya
- 岩見沢がある空知地方は、道央の西側。アイヌ語の「ソーラプチ(滝下る所)」が語源で、「空を知る」というすてきな漢字があてられた。空知は余市と並び、北海道有数のワインの産地。
ワイナリーに向かうタクシーのシートでクロワッサンを頰張る。味が濃くて香ばしい。「北海道!」と心のなかで叫ぶうち、なだらかな丘に広がる葡萄畑、「宝水ワイナリー」の赤い屋根が見えてきた。
岩見沢は真冬には外気温がマイナス15度を下回る豪雪地帯。ここがワイン産地とはちょっと不思議。1.5〜3mほどの積雪が葡萄の樹をすっぽり覆い、「雪布団」のなかは0度前後に保たれるという。雪は葡萄の味方。出迎えてくれた倉内武美社長は言う。
「雨や雪、風、寒暖差。厳しい自然が、岩見沢の個性をつくります。食卓ですっとグラスが進む、飲みやすいワインを目指しています」
さて、試飲だ。
「うわぁ、おいしい!」
ワインを買い求めにきた女性たちが、すぐ隣で歓声をあげた。
雪国が育てた白と赤の美しい個性

岩見沢の風土から生まれた、宝水ワイナリーの「RICCA」、その赤と白。葡萄が育った土地を訪ねて飲む一杯は、いつもよりずっと記憶に残る。 



おすすめは白なら「シャルドネ」。2024ヴィンテージは畑の中腹、平均樹齢19年の葡萄からつくられ、きれいな酸味とミネラル感が魅力。赤はドイツ原産品種の「レンベルガー」。赤い果実のニュアンスとスパイシーな香り、口当たりはやさしく繊細。

赤ワインを加えたソフトクリームも秀逸。
宝水ワイナリー

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住所:北海道岩見沢市宝水町364-3
TEL:0126-20-1810
営業時間:10:00~17:00
定休日:4~12月 無休/1~3月 水曜日
アクセス:JR「岩見沢駅」から車で約15分
housui-winery.co.jp/
おいしいと美しいを、旭川から連れて帰る
- 岩見沢から旭川へは、特急列車でおよそ1時間。まず訪ねたいのは、まちなかにあるナチュラルチーズ工房「ジャパチーズ」だ。
「近郊の加藤牧場で朝搾られたばかりの質の高い生乳でつくります」
長尾英次さんは蔵王で長くチーズづくりに携わってきた。旭川には米、醬油や味噌、日本酒など、日本の食卓を支えるものづくりが息づいている。
「そのひとつにチーズがあっていい。納豆や豆腐のようにいつもの買物かごに入るチーズですね」
後日、すすめられたモッツァレラをお味噌汁へ。これがよく合う。旭川の「おいしい発見」だった。 毎日の食卓にチーズという新しい仲間


白や黄色、形もさまざまなチーズが並び、どれにしようか迷う時間も楽しい。なかでも目を引くのが、トマトピューレ入りのモッツァレラ。ミルクのやさしい味わいにトマトの風味が重なり、彩りも鮮やか。そのままでも、食卓のひと皿に加えても。
ナチュラルチーズ工房 ジャパチーズ

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住所:北海道旭川市7条通7丁目33-69 買物公園
TEL:0166-56-7849
営業時間:11:00~18:00
定休日:月曜日・第3水曜日
アクセス:JR「旭川駅」から徒歩約20分
www.japacheese.com/
- ランチは人気のスープカレー「シノカリー」で「豚角煮と牛すじカリー」を注文。
器には具材がどっさり。とろりとやわらかな角煮に旨みの濃い牛すじ、野菜は約10種類。
「スープも具材も、じっくり時間をかけ、味付けも薄い味から少しずつ重ねていくんです」と店主の佐々木卓哉さん。
そしてライスにはレモン。カレーではなくライスに搾って、またひとくち。佐々木さん考案の、なんとも楽しい「味変」だ。
ひと皿のなかにおいしさがこんなにたくさん

店主おすすめ「豚角煮と牛すじカリー」に入る野菜は、ピーマン、レンコン、ニンジン、ナガイモ、ゴボウ、キャベツ、ナス、ズッキーニ、ブロッコリーなど約10種。季節によって顔ぶれも変化。次は一番人気の「チキンカリー」を試してみたくなる。夜にはピザもメニューに。
シノカリー

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住所:北海道旭川市春光4条9丁目9-20
TEL:0166-85-6884
営業時間:10:00~15:00(L.O.14:30)17:00~20:30(L.O.20:00)
定休日:火曜日
アクセス:JR「旭川駅」から車で約15分
www.instagram.com/shino.curry
- 旭川といえば家具のまち。豊かな森林資源、磨かれてきた職人の技、そしてデザインの力が旭川家具を育ててきた。
「旭川デザインセンター」は約30社の家具が並び、プロトタイプや世界的な椅子のコレクションも楽しめるショップだ。
気になる家具を見つけたら、ぜひ触れてみよう。木の手触り、美しい曲線、使い心地も探れそうで、職人の技を身体で感じられる。
旅人なら木工クラフトも気になる。家具は持ち帰れなくても、カトラリーや小さな置物なら荷物にならない。旭川の木と技を、ひとつ連れて帰るのもいい。
小麦、葡萄、ミルク、木……この土地から生まれた「北の恵み」と、それを活かす人たちとの出逢い。とてもいい一日だ。
世界のデザインを旭川の技でかたちにする


旭川家具は、職人の技だけでなくデザインの追求でも知られる。1990年から「国際家具デザインコンペティション旭川」を開催。世界から集まったアイデアのなかには、旭川の職人が試作し、製品化されたものも。簡単な木工体験もできるので、ものづくりに触れてみるのもいい。
旭川デザインセンター

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住所:北海道旭川市永山2条10丁目1-35
TEL:0166-48-4135
営業時間:10:00~17:00
定休日:火曜日(祝日除く)、年末年始
アクセス:JR「旭川駅」から車で約15分
asahikawadesign.com/


