TRAVEL

2022.12.02
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Traveling to Japan Heritage Sites
本物に出合える日本遺産の旅④
旅の原点に思いを馳せながら
東海道五十三次の世界を行く

江戸後期に流行した滑稽本『東海道中膝栗毛 (とうかいどうちゅうひざくりげ)』は、日本初の“ 旅ブーム” のきっかけになりました。弥次さん喜多さんが歩き、日本遺産にも認定されている駿州(すんしゅう)へ出かけてみませんか。
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  • Toru Kawagishi
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  • 今から約200年前、江戸時代後期の日本で“旅ブーム”が巻き起こりました。そのブームのきっかけを作ったのが、日本の「ガイドブックの原点」ともいわれる、歌川広重『東海道五十三次』や、葛飾北斎『冨嶽三十六景』などの浮世絵と、十返舎一九(じっぺんしゃいっく)が自らの足と目で集めたリアルな旅情報を文章と挿絵で紹介した滑稽本『東海道中膝栗毛』。江戸の人々は浮世絵や滑稽本を通じて、各地の風景や魅力を知り、旅へ出たいという想いを募らせたのです。
  • 静岡市東海道広重美術館所蔵 / 歌川広重『東海道 十八 五十三次 興津清見かせき 清見寺(せいけんじ)』。清見寺は日本遺産の構成文化財のひとつ。

  • 『東海道中膝栗毛』の主人公は、弥次さんと喜多さんのふたり組。思うようにいかない人生に嫌気がさしたふたりは、財産すべてをふろしき包みひとつにまとめ、江戸から厄落としの旅に出かけます。その道中で出合った風景や食べ物、人情話がコミカルに描かれています。
  • 江戸から伊勢神宮、京都を経て、四国・中国へ至る長いストーリーのなかで、ハイライトシーンといえるのが「駿州(すんしゅう)」。ここは作者の十返舎一九と物語の主人公、弥次さん、喜多さんの故郷でもあります。
  • 江戸から駿州に入ったふたりは、薩埵峠(さったとうげ)に到着。薩埵峠は東海随一といわれる富士山の眺望が楽しめる名所です。でも、運がないふたりは激しい雨にたたられ、富士の姿を見ることができません。
  • 由比町と静岡市の境に位置する薩埵峠。かつて東海道の難所として知られたが、現在は駿河湾と富士山を望む絶景スポットとしてお馴染み。遊歩道や展望台が設置され、ハイキングを楽しむことができる。

  • その後、丸子宿(まりこしゅく)に着いた弥次さんと喜多さんは料理店に入り、名物のとろろ汁を注文。ところが、店の夫婦が喧嘩を始めてしまい、店内にはとろろ汁が飛び交い、夫婦もすべりこけてしまいます。弥次さんと喜多さんは喧嘩の様子を楽しみましたが、名物のとろろ汁は食べずじまいになってしまいます。この店のモデルになったのが1596年創業の老舗「元祖丁子屋(ちょうじや)」。茅葺き屋根の店内で、今もとろろ汁を味わうことができます。
  • 丸子宿の名物とろろ汁が味わえる「元祖 丁子屋」。『東海道中膝栗毛』で紹介され人気を集めた。

  • 丸子宿を出たふたりは、宇津ノ谷峠に差しかかります。ここは古くから怪談の舞台として有名。ふたりはこわごわと峠を越え、最後は坂道を転げ降りて、岡部宿(おかべしゅく)の旅籠(はたご)に到着します。岡部宿には今も当時のままの旅籠の建物「岡部宿 大旅籠柏屋(おおはたごかしばや)」が残っています。
  • 今もなお江戸時代と同じ景色や名所が残る「駿州」。弥次さん、喜多さんが歩いた道中を、ワクワクとした気分で旅してみてはいかがでしょうか。
  • 「岡部宿大旅籠柏屋」は歴史資料館として保存。広間、台所、客間が公開され、弥次さん喜多さんの姿も。

  • 徳川家康を御祭神とする久能山東照宮。歴史博物館では、東照宮ゆかりの宝物のほか、家康が使用した日常品や、歴代将軍が所有していた武器武具を公開。煌びやかな建物も一見の価値がある。

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