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2019.05.10
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DEEP TRADITION, COLORFUL INNOVATION "KYOTO"
「現代和風」京都迎賓館の不易流行

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  • Akira Uemura
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  • Hiromichi Kataoka
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  • 京都御苑の東を走る寺町通。
    清和院御門から御苑に入り、右へ。
    海外からの賓客を迎えるために平成17年に完成した「京都迎賓館」の築地塀が、御所や木々の緑に馴染む。数寄屋造り、入母屋屋根に、西日が影を落としはじめようとしていた。
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  • 早速、見学開始。
    なかに入ると、「庭屋一如」。ほとんどの部屋から庭が楽しめる佇まいに、さらに数寄屋大工、左官、截金、庭園、など日本の伝統的技能、匠の技が〝爆発〞している。

  • たとえば「截金」。「藤の間」の高さ約6メートルの6枚の舞台扉の装飾に使われている。
    「人間国宝・故江里佐代子さんによるものです。金箔、プラチナ箔を6枚ほど重ね火で炙り、竹の刀で細く切り、 膠と布海苔、特殊な筆で1本1本根気よく貼り付けられています」
    運営課・髙橋直也さんの説明だ。
  • 「藤の間」の舞台扉。人間国宝・故 江里佐代子さんによる截金。金箔とプラチナ箔のコントラストが美しい。
  • シンメトリーに貼り付けられた金銀の文様は、見事なまでの繊細美。
    幅16.6メートルの西陣織の壁面装飾、長さ12メートルの吉野杉の天井板、同じく漆一枚塗りの座卓、蒔絵を施した座椅子などの調度も見逃せない。
  • 「聚楽の間」安楽椅子のシートは西陣織。

  • 「この建物は至るところに木材が使われ、一見木造建築ですが、実は鉄筋コンクリート造りです。伝統技法も含め、これまでの日本建築の技術と新しい建築技術の融合、『現代和風』が大きなコンセプトですね」(髙橋さん)
  • 不易流行。
    京都迎賓館は、「膨大な文化力」とも言える本質を守り、いっぽうで積極的に新しさに挑戦するという京都気質の「お手本」なのだ。その新しさはやがて本質となって、歴史の一部として刻まれ存在していく。

  • 中庭の左に見える円柱の石は、旧五条大橋の橋杭に使われていたもの。

  • 約1時間。一般公開のガイドツアー同様の見学は、まさに艶やかだった。
    茜色の夕空。明日も晴れそうだ。

京都が生んだ“平成の至宝”を一般公開
京都迎賓館

  • 平成17年4月に完成以後、小泉首相とブッシュ大統領の日米首脳会談、ブータン国王の新婚旅行での利用など、約12年で113回賓客を迎えている迎賓館。そうした接遇等に支障のない範囲で、年間を通じて一般公開(ガイドツアー、自由参観)されている。
    住所:京都市上京区京都御苑23
    TEL:075-223-2302 (自動音声案内/24時間対応)
    https://www.geihinkan.go.jp/kyoto/

  • ※この記事は「COMFORTS」2017年2・3月号の転載です。

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